吉田大八監督の映画なので普通に面白いが
何と言うか、もう1つパンチを利かせて欲しかった。
騙し絵の牙

STORY(YAHOO映画より)

   大手出版社の薫風社で創業一族の社長が急死し、次期社長の座を巡って権力争いが勃発する。専務の東松(佐藤浩市)が断行する改革で雑誌が次々と廃刊の危機に陥り、変わり者の速水(大泉洋)が編集長を務めるお荷物雑誌「トリニティ」も例外ではなかった。くせ者ぞろいの上層部、作家、同僚たちの思惑が交錯する中、速水は新人編集者の高野(松岡茉優)を巻き込んで雑誌を存続させるための策を仕掛ける。


感想

 吉田大八監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」という「劇団、本谷有希子」の芝居を映画化した作品で注目された人である。当時私もこの作品を劇場で観ているが、つかこうへいの芝居を彷彿させるカリカチユアライズされた登場人物が舞台ならいざ知らず、よりリアルな映像となって映し出されたことによって両者がハレーションを起こしているように感じたためか、強い違和感を覚えた記憶がある。但し、吉田監督は、この1作で「独特の人間の切り取り方をする監督」「一筋縄ではいかない、ある種の毒を作品に忍ばせる監督」であることを観る者に印象付けることに成功した。そして、その本領をさらに強く発揮したのが、あまちゃんメンバーも多数出演していた「桐島、部活やめるってよ」である。この映画は、最後まで登場しないクラスのリーダー的存在の級友に関する噂に翻弄されるクラスメートを描いていたが、青春映画としても群像ドラマとしても飛び抜けて面白かった。まるでベケットの「ゴドーを待ちながら」のように不在の誰かを待つ者に焦点を当てることによって、その1人1人の人となりやそれぞれの人間関係が鮮やかに浮かび上がってくる。そういう優れた作劇術のお手本のような作品だったのだ。さらにその後に撮られた「紙と月」は、ほんのちょっとした切っ掛けでダークサイドに落ちる銀行員の女を描いていたが、人間の捉え方やその表現の仕方が過去のどの作品よりも優れていたため、彼のフィルモグラフィーの頂点をなす作品になっていた。一方で彼の作品の中には、人間の切り取り方は独特だけれど、そこだけで留まってしまい、並みの作品で終わっているものも少なくない。(クヒオ大佐、美しい星、羊の木など)要は、材料をそれなりの作品に仕上げる力を持っているが、出来不出来に若干の差が出る監督なのである。
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ桐島部活やめるってよ紙の月

 そこで今回の作品だが、エンタテイメントとしてそれなりに良く出来た、そこそこ面白い作品だったと思う。
 最高権力者の急死に伴う出版社の派閥争いを描いた作品だったが、内容が内容だけにほとんどの登場人物が海千山千の食わせ者で、そんな連中が互いに出し抜きあいながらパワーゲームを繰り広げるのだから、正に吉田大八にぴったりの題材であり、これで面白くならないわけがないと
思わせた。案の定、目まぐるしく変わるストーリーに安心して身を委ねながら、ゲームの行方の目撃者のような感覚で最後まで楽しく映画に付き合うことができたのである。
 メインキャストに手練れの役者が多く配置され、それによって観客が未熟な演技で興を削がれなかったことも大きかったと思う。
 主役の大泉洋は、掴みどころがなく、どこか
人を食ったようなところもあるが、何故か憎み切れないキャラが彼の個性にピッタリ正に嵌り役だった。そんな大泉洋が肩の力を抜いて楽しそうに演じていたため、その余裕が映画自体のゆとりに繋がり、観客この作品を大らかに楽しむ上での1番のベースになっていた。
 準主役の松岡茉優も好演していた。彼女は、変に気取った役ではなく、こういう下町育ちの頑張り屋さん的な役の方が性に合っている。今回が正にそんな役柄で、水を得た魚のように本領を発揮しており、ここ何作かの作品の中のベストアクトになっていた(個人的には「万引き家族」や「蜜蜂と遠雷」よりもこの作品の彼女の方が良かったと思っている。)
 
他にも佐藤浩市や木村佳乃、国村隼、佐野史郎など、要所要所に力のある人が配置され、それぞれが余裕しゃくしゃくの演技を見せていたため、そんなところも作品を楽しむ上での安心感に繋がっていたと思う
 もう1人、私は、大嫌いなレプロエンタテイメントに所属する宮沢氷魚の出る作品を観ないように観ないようにしてきたのだが、とうとう見る羽目になってしまった。その演技については、まだ海のものとも山のものとも言えないため評価はできないが、独特の個性は、面白くないこともないと思っている。もしも所属事務所がレプロでなければ、彼に合った作品を選んでいくことによって少しずつその才能を伸ばすことも可能だったかもしれないが、センスのないレプロのマネジメントでは、飛躍するのは至難の業のような気がする。彼はICU(国際基督教大学)出身の秀才だが、所属事務所にレブロを選んでしまうセンスの無さ、見る目の無さは如何ともしがたい。
騙し絵の牙②
 
縷々書いてきたように、この映画はそこそこ面白かったのだが、「桐島~」や「紙の月」のようなハッとする程の面白さにはなっていなかった。それは、全体的に手堅く、上手くまとまってはいたけれど、それを飛び超えるような何かがなかったからだと思っている。2つの作品には、それがあったが、この作品には無かったのだ。そのためか、個性的な登場人物が次々登場し、ストーリーが何度も急展開する割には、こちらの心の奥に刺さるような棘がなく、エッジも利いていなかった。収まりの良いラストも含め、「吉田監督も大分丸くなったなあ」という印象の残る作品だったため、そこにどうしても物足りなさを感じてしまうのである。
 吉田大八監督は、まだ50代。丸くなるにはまだ早すぎるので、次はもっと野心的な彼らしい作品に是非とも挑戦してもらいたい。

 令和3年4月8(木) イオンシネマ 80点

🌟 のんちゃんに関する小さな部屋(レプロエンタテイメントの闇②) 

 前回に続き、レプロエンタテイメントという会社の問題点について整理していきます。
 実は既にtwitterの方でも呟いたのですが、前回の自分のブログを読み返してみて改めて空恐ろしい気持ちになりました。と言うのは、今回のマリエさんの発言が事実だった場合(私は極めて信憑性が高いと思っています)、レプロは、もしもマリエさんがしぶしぶでも承諾していたら、本人の意思を確認できたとして、本心では嫌で仕方がないこと分かっていながら、そのことを斟酌せず、性交渉の場に送り出したであろうことが推察されるのですが、記事によると、当時マリエさんは18歳で、辛うじて児童ではありませんでしたが、成人にはなっていなかったのです。そんなまだ自分の意思能力が完全ではない女性を、仕事のためとして性交渉の場に送り出すことを容認する会社(レプロ)が存在することに背筋がゾっとしてしまいました。しかも、レプロには今も未成年や児童福祉法上の児童に該当する女性タレントが何人もいます。そうした人達の人権のことを考えると、何だか目の前が暗くなるような気持ちになりました。尤もレプロも馬鹿ではないので、少なくとも18歳未満の児童に性交渉を勧めるようなことはしていないと思いますが。(何と言っても児童に淫行をさせたり、斡旋したりする行為は、児童福祉法により懲役や罰金が課せられるので)但し、未成年者の望まぬ相手との性行為を容認する会社が、何人もの未成年或いは児童の女性タレントをマネジメントすることについては大きな問題があると考えています。たとえ児童である間は、そういうことをさせなかったとしても、その間に会社に逆らえないようなマインドコントロールを施すことによって、18歳以降に会社の申し出を断らず、自分の意思のような形で売春(枕営業)をさせるタレントを作り上げるとか、或いは、本心は嫌でも、そこまでかけた経費を持ち出すことによって断れない雰囲気を作り(「お前を育てるのに幾らかかっと思っているんだ。これだけ金をかけてもらっているのに、こんなこともできないのか」と強い圧をかけたりする・・。レプロなら十分に有りそうな気がします)、同じく自分の意思のような形で売春(枕営業)させることがあるかもしれないと心配するのです。
 マリエさんの発言から、こうしたことが想像できるのですが、それは女性の人権を蹂躙し、児童の福祉に禍根を残すことであるため、私は公的機関による何らかの監督なり、指導が必要になるのではないかと考えています。それがない現状は危なすぎ、実は問題が起きていても、秘かに闇に葬られ、弱い立場の者が泣き寝入りするしかなくなっているのではないかと危惧しています。


 
さて、最後にこのことに関連する記事であれっと思ったことについて。
 それはBusiness Journalの「マリエ、能年、清水 芸能事務所レプロの"闇"、所属タレントからの告発が相次ぐ理由」という記事で、この記事、タイトルは威勢が良いのですが、肝心の中身の方で、どこの誰ともわからない業界記者の話として、レプロ擁護とも取れる根拠のないことを恰も真実であるかのようにしれっと書いていたため、一遍に鼻白んでしまったのです。
 特に私が不愉快だったのが、「のんちゃんがブレイクするまでにレプロが投下した費用は、レッスン代や生活費、営業コストなどを合算すれば何千万円レペルでは済まない金額でしょうから・・」という件。どこをどう計算すればそんな金額がはじき出されるのか、ちゃんと証拠を出し、計算を示して欲しいものです。のんちゃんが上京してからの生活費は、5年間として、年300万円×5年=1500万円、レッスン料が年100万円×5年=500万円、のんちゃん1人に対する営業コストなど、どんなに多くても2000~3000万円くらいなので、全部合わせても 5000~6000万円くらいではないでしょうか。のんちゃんは、朝ドラ「あまちゃん」終了後、大手企業のCMに何本も出演しているため、軽くくらいの金額は稼ぎ出している筈です。ここら辺の積算の考え方は、その道のプロであるSPEEDYの福田氏とあまり変わらないと思っていますが、そんなちょっと計算すれば分かるような嘘を平気で並べ立てる記事が跋扈している現状を見るにつけ、まだまだ油断はできないと考えています。


 PS. 前回、追記させてもらった4月20日(火)の「シブヤデアイマショウ」のチケット
  については、何とか行ってもらえる人を見つけることができました。大変お騒がせし
  ました。


※ 赤ポチさんは、私が以前ヤプログでブログを始めた頃(映画「ホットロード」公開の少し
 前)からの のん友で、一貫してのんちゃん(旧芸名は本名の能年玲奈さん)のことを真摯に応援
 してくれている誠実な方です。
こちらが
ヤプログ閉鎖後の赤ポチさんのしいブログドンキ
 です。
のんちゃんのファンの方は是非訪問してみて下さい。